初めまして、オンライン個別塾G-coach塾長の浦山です。

公共財団法人 日本英語検定協会(※以下、英検協会)が、2024年度から実用英語技能検定(※以下、英検)の問題形式を一部リニューアルすることを発表しました。

「リニューアルでは何が変わるんだろう…」
「どうやって対策したらいいんだろう…」

本記事ではこのような疑問をわかりやすく解説します。
是非最後までお読みいただき、みなさんの英検取得の一助となれば幸いです。

なぜ変わる?

英検とは、文部科学省が定めるその時々の学習指導要領で示される英語能力観を適切に測ることを目的としたものです。

つまり、学習指導要領が変われば、英検の試験問題も変わっていくということは自然の流れと言えます。

現行の学習指導要領の「外国語」を確認すると、5つの領域(「聞くこと」、「読むこと」、「話すこと(やり取り)」、「話すこと(発表)」、「書くこと」)を関連付けた統合的な言語活動を重視すること、また、知識・技能の習得だけではなく、目的や状況に応じたコミュニケーション能力を育成すること、が求められていることがわかります。

これらの新たな英語能力観を踏まえた出題形式にリニューアルする必要がある、と英検協会が判断したことが今回のリニューアルの背景というわけですね。

いつ変わる?

「2024年度第一回検定」からリニューアルが実施されると発表されています。

2024年度第一回検定
  • 申込期間:3月15日(金)~5月8日(水)
  • 一次試験:6月2日(日) 本会場
  • 二次試験:7月7日(日) 本会場A日程 / 7月14日(日) 本会場B日程

参照:日本英語検定協会\試験日程・受験案内

英検S-CBTについては2024年5月実施分からリニューアルが予定されています。

英検S-CBT
  • 2024年5月実施分から問題形式改訂
  • 改訂対応に伴い、5月から7月については平日の実施は行わない
  • 2024年8月以降については平日の試験日を設定予定

参照:日本英語検定協会\【続報】2024年度からの実用英語技能検定(英検)問題形式一部リニューアル「英検(従来型)」・「英検S-CBT」試験実施に関するご案内

何が変わる?

問題形式がリニューアルされるのは3級以上の級(1級、準1級、2級、準2級、3級)のみです。大きな変更点は「試験時間」・「Reading問題の削減」・「Writting問題の追加」の3点です。

リニューアルの全体像を表にまとめます。

参照:日本英語検定協会\「2024年度 英検 問題形式リニューアル」特設サイト

リニューアル全体の傾向として、リーディングの問題から単語・文法の語句空所補充問題が削減され、ライティングに新たな問題が追加されています。

準2級、3級においては試験時間が延長されていますね。

新設問題の対策方法

Eメール問題の概要

Eメール問題は準2級、3級で出題されます。

設問はすべて日本語で書かれており、外国人からのメールに対して英語で返事を書くという内容です。

解答は、内容・語彙・文法の3つの観点から採点されます。

採点項目
1
内容

正しく答えられているか

2
語彙

級数レベルの単語を使えているか

3
文法

正しい文法を使えているか

Eメール問題のポイント

設問の指示を守ろう

「設問の指示を読み飛ばしていた…」
「指示を勘違いして書いてしまった…」

焦ってしまうとこのようなことが起きてしまいます。

まずは慎重に設問を読み、指示を確認しながら書き進めましょう。

タスクをこなそう

Eメール問題は自由英作文の様にただ返事を書けばいいという訳ではありません。

3級では相手の質問に答える、準2級では相手に質問をする、というようなこなすべきタスクが与えられています。

タスクをこなしているかどうかが最も重要な評価基準になります。

あいさつ文を用いよう

いきなり質問に対する解答を書き始めるのではなく、あいさつ文からメールを書き始めるようにしましょう。

実際にメールをするときにも、いきなり本題に入るなんてことはあまりありませんよね。

「メールをくれてありがとう」
「君のメールで感動したよ」

というようなあいさつ文を書いてから、本題に入るようにしましょう。

要約問題の概要

要約問題は2級、準1級、1級で出題されます。

設問は2級のみ日本語、準1級と1級は英語で書かれており、1つの英文を読み、英語で要約するという内容です。

解答は、内容・構成・語彙・文法の4つの観点から採点されます。

採点項目
1
内容

正しく答えられているか

2
構成

パラグラフごとの論理を表せているか

3
語彙

級数レベルの単語を使えているか

4
文法

正しい文法を使えているか

要約問題のポイント

文章全体で伝えているメッセージを捉えよう

文章全体を読み、文章全体を通して一貫しているテーマが何かを特定しましょう。

パラグラフの頭の文章を読むだけでは分からないような問題にされている場合もあるので、必ず文章全体を読む必要があります。

そのため、英文を早く読むための速読力を普段から身に付けられるようにしましょう。

パラグラフごとの重要なポイントを盛り込もう

パラグラフに分かれているということは、それぞれのパラグラフに重要なトピックがあるということです。

例えば、第三パラグラフまでの文章に対して、第二パラグラフを飛ばして、第一・第三パラグラフの内容しか盛り込まれていないとなると、減点対象なってしまうでしょう。

パラグラフは意味があって存在しているので、必ずすべての要素を盛り込むようにしましょう。

具体的な表現を抽象的・総称的な表現にまとめよう

要約問題で最も大切なポイントです。

要約問題では、本文に書かれている言葉をそのまま書き写すだけでは、要約とみなされずに減点対象となってしまいます。

本文には具体的事例がたくさん出てきます。
この事例を抽象的・総称的な表現で言い換えられるようにしましょう。

例えば、

He bought carrots,cucumbers,onions and eggplants.
(彼はにんじんときゅうりと玉ねぎとなすを買いました。)

という文章は、

He bought various vegetables.
(彼は様々な野菜を買いました。)

という文章に言い換えることが出来ます。
このように、具体的な事例を多く含む文章を抽象的・総称的な表現でまとめられるようにしましょう。

補足:話題導入文とは?

話題導入文とは、設問の状況をより具体的なものとして捉えやすくするための補助的な文章です。

Should rich countries do more to help poor countries develop?
(富裕国は貧困国の開発を促進するためにもっと積極的に取り組むべきでしょうか?)

参照:「2024年度 英検 問題形式リニューアル」特設サイト 出題例

今までは、黒字の設問文のみしか記載がなく、突発的に社会的な話題に触れられていましたが、赤字のような前提となる情報が加えられることで、解きやすくなりました。

この一文が増えたことで解答の内容が変わるかというと、そうではありません。

今まで通り聞かれた内容について、答えるようしましょう。

英検対策のオススメ参考書

最後に筆者オススメの英検対策参考書を2冊紹介します。

今回のリニューアルに対応したものもあるので、是非チェックしてみてください。

①旺文社「2024年度版 英検 過去6回全問題集」シリーズ

英検書売上No1の旺文社が誇る言わずと知れた英検対策のド定番。

過去6回分の試験が収録されているので、やりこなすことで英検の出題傾向をしっかりとつかむことができます。

1級~3級においては、2024年度から始まる新ライティング問題にも対応しており、英検公式サンプル問題のほか、旺文社オリジナル予想問題も掲載されています。

また、掲載6回分のすべての音声(リスニング・面接)をアプリやダウンロードで手軽に聞くことができます。

対応している英検の級:1級~5級
出版社:旺文社
公式サイトのURL:https://www.obunsha.co.jp/product/series/f001
価格:1,320円(5級)~3,080円(1級)

②旺文社「英検 でる順パス単」シリーズ

「英検 でる順パス単」シリーズは、1998年の刊行以来、多くの英検受験生から高い信頼を得ているロングセラー単語帳です。

過去5年分の英検過去問題を徹底分析し、よく出題される単語を「でる順」で掲載されています。

スマホやパソコンで簡単に音声を聞くことができる無料音声サポート、単語や熟語の習熟度を確認できるテストなど、受験生の勉強を最大限サポートする機能も充実しています。

100語区切りでセクションが分かれているので、1日の学習のリズムもつかみやすくなっています。

対応している英検の級:1級~5級
出版社:旺文社
公式サイトのURL:https://www.obunsha.co.jp/product/series/f035
価格:1,100円(5級)~1,980円(1級)

おわりに

いかがでしたでしょうか。

今回は2024年度から実施される英検問題のリニューアルについて解説しました。

今回のリニューアルで、リーディングの問題が減り、ライティングの問題が増えるからといって、文法を疎かにしていいわけではありません。

今回のリニューアル内容を簡潔に述べると、

「勉強した内容を状況に応じて使いこなせますか?」

ということだと私は考えています。

試験のための英語で終わるのではなく、社会に出たときに使えるツールとしての学びを深めてほしい、という英検協会の願いが込められているのかもしれませんね。

皆さんの勉強が実りあるものになることを私も微力ながら祈っています。