こんにちは!オンライン個別塾G-coach塾長の浦山です。
早速ですが、英語の勉強において、リーディングやライティングと同様に、リスニングスキルを向上させることはとても重要ですよね。
センター試験から大学共通テストに変わり、リスニングの配点が上がったことからも、リスニングを重要視していることがうかがえます。
ですが、学校の授業ではまだまだリーディングを重視した授業が行われているという事実…。
リスニング対策はどのように進めたらいいんだろうか…。
今回は英語の中でも特にリスニングに焦点を当てて、なぜ苦手意識が芽生えてしまうのかであったり、苦手意識を取り払えるようなオススメ勉強方法などを詳しく解説します。
「英語を聞き取れるようになりたい」
「リスニングの正しい勉強方法が知りたい」
という方は是非最後まで読んでいただければと思います。
リスニングでつまづく原因
それではまずは、リスニングでつまづいてしまう原因は何なのかを解説します。
自分の弱点がどこにあるのかを理解することは、物事の上達には欠かせませんので、当てはまっているものがないか確認してみましょう。
英語が聞き取れない原因で代表的なものは以下の3つだと言われています。
- 単語・文法の知識が不足している
- 発音のルールがわかっていない
- スピードについていけない
1つ1つ確認してみましょう。
①単語・文法の知識が不足している
1つ目の原因として、単語や文法の知識が不足していることが挙げられます。
以下の文章を読んでみて下さい。
「構造的な不均衡が個人の行動に影響を与え、
それが社会的な移動に制約を与える仕組みが存在する。」
どうでしょうか、なんとなく言っていることは分かるけど…、といった感じではありませんか?
馴染みのある日本語ですら、難しい単語や表現が使われている文章は理解するのに時間がかかってしまいますよね。
英語も日本語と同じ「言語」ですので、意味を理解するためには単語・文法の知識は必要です。
ましてや音声だけで素早く聞き取るためには、知らない単語があっては思うように聞き取れなくて当然と言えます。
スクリプト(リスニング音声を文字におこしたもの)を読んでも意味が分からない場合、単語・文法の知識が不足している状態ですので、まずは単語帳や文法書を使って基礎的な知識をマスターすることが重要です。
②「発音のルール」がわかっていない
2つ目の原因としては、発音のルールを知らないことが挙げられます。
発音記号については学校の授業などで聞いたことがあるかもしれませんが、英語にはアクセントやイントネーション以外にも以下のような発音のルールがあることをご存じでしょうか。
- リンキング(linking):単語同士がつながって発音される
- リダクション(reduction):本来発音すべき音が発音されない
- フラッピング(flapping):母音と母音に挟まれた破裂音(「t」や「d」の音)が「ラ行」のように発音される
これらは「リエゾン」とよばれる英語の発音のルールです。
日本語でも「体育館(たいいくかん)」を「たいくかん」というように発音しやすい音に変化することがありますよね。
リエゾンは学校の授業で習わないことがほとんどですので、リスニングの勉強を通して自分自身で学習していく必要があります。
スクリプトは理解できるけど音声を聞き取れないという方は、発音のルールを意識してみましょう。
③スピードについていけない
3つ目の原因としては、英語のスピードについていけないということが挙げられます。
短い文章やゆっくりな音声は聞き取れるが、長文になると理解が追いつかなくなり聞きとれなくなるケースがこれにあたります。
リスニングは、①音を聞き取る、②単語に変換する、③意味を理解するという3段階に分けて考えることができます。
スピードについていけなくなる原因は、②単語に変換する、③意味を理解するに時間がかかっているからです。
長文になるとどうしても意味を追うことに意識がいってしまうので、まずは20~30秒程度で聞き終わるような短文のみの音声を繰り返し聞き、英語を英語のまま理解する訓練を行いましょう。
リスニング力向上のためのポイント
なぜリスニングが苦手なのか分かってきたでしょうか。
ここからはリスニング力を向上させるためのポイントについて詳しく解説してきます。
ひとくちにリスニング力向上のポイントといってもたくさんありますので、ここでは筆者が特に大切だと思うものを3つ紹介します。
①毎日英語の音声を聞く
リスニング力向上のために筆者が考える最も重要なこと。
それは英語の音声を毎日聞くということです。
たった10分でもOKです。
勘違いしてはいけないことは、ただ聞き流せばいいというわけではありません。
知らない単語・フレーズを毎日聞いたところで英語を聞き取れるようにはなりません。
ポイントは意味が分かっている文章を毎日聞くということです。
毎日英語を聞くことで、英語特有の「音」に耳が慣れてきますし、英語を英語のまま理解するということが分かってきます。
そして何より、「英語が聞き取れている感覚 」を実感しやすく、リスニングの勉強のモチベーションにつながります。
②ゴールを定める
2つ目のポイントは、最終的にどの程度の英語を聞きとれるようになっていたいか、というゴールを設定することです。
共通テストレベルなのか、英検やTOEICなどの資格試験レベルなのか、はたまたネイティブレベルなのか。
目標とするレベルによって、勉強の取り組み方が変わってきます。
目標レベル | リスニング速度 |
---|---|
大学共通テスト | 1分間に130~140語程度 |
TOEIC | 1分間に160~180語程度 |
英検準2級 | 1分間に120~130語程度 |
英検2級 | 1分間に135~145語程度 |
ネイティブ | 1分間に200~語程度 ※もちろん人によります。 |
まずは自分の目標を定めて、レベルに合った教材を使用して勉強に取り組むようにしましょう。
③発音練習に取り組む
そして3つ目のポイントは、発音練習に取り組むということです。
発音練習は一見スピーキングの勉強だと思われがちですが、リスニング対策にも有効です。
なぜなら、「自分が発音できる=聞きとることができる」という法則があるからです。
単語を覚える際は必ずアクセントや発音記号も意識するようにしましょう。
ある程度単語の発音ができるようになったら、次のフェーズとして文単位で発音練習やシャドーイング(後述で詳しく説明します。)などに取り組みましょう。
はじめのうちは覚えることが多く大変に感じるかもしれませんが、リスニング力向上には発音練習が重要ですので、へこたれずに取り組むようにしましょう。
やりがちな間違った勉強法
さぁいよいよ具体的な勉強方法を…、といきたいところですが、その前にリスニング対策でやりがちな間違った勉強法をご紹介します。
リスニング力を高めるためには自分のレベルに合った勉強方法を取り入れることが大切です。
「リスニング力を高めるためには〇〇がオススメだよ」
やってみたけど全然聞きとれるようにならない!という場合は、自分に合っていないのかもしれません。
一度自身の勉強方法を振り返ってみて、レベルに合った勉強方法に改善していきましょう。
①「聞き流し」勉強法
「英語を聞き取れるようになるためには英語をたくさん聞くべし!」
という言葉が一人歩きしてしまった結果、なんとなく毎日英語を聞いていれば勝手に聞きとれるようになると思っている方が増えてしまったように思います。
「リスニング力向上のためのポイント」でもお伝えした通り、知らない単語・フレーズを何百回聞いたところでリスニング力は向上しません。
聞き流しが効果を発揮するのは、9割の内容を理解できる英文であること、という前提条件あってのものです。
聞き流しだけしか行わないのは、BGMとして音楽を流している状況と何も変わりません。
聞き流しを行う際は、意味が分かる文章を聞くこと、また、他のリスニング対策の勉強と組み合わせて、補助的な位置づけで行うようにしましょう。
②取り組む頻度が少ない
高校生は勉強することが山ほどあります。
リスニングに多くの時間を割けないことはよくわかりますが、たとえば週1回60分だけリスニングの勉強をしたとしても、なかなか英語を聞きとれるようにはなりません。
なぜかというと、英語を聞く頻度が少ないと耳を英語に慣れさせることができないからです。
どんなに効果的な勉強方法を取り入れたとしても、毎週同じレベルを繰り返すことになってしまうでしょう。
リスニング対策を始める場合、できるだけ毎日英語に触れるようにしましょう。
週1回60分取り組むよりも、毎日10分だけ取り組むことを続けた方が、耳が英語に慣れてくるはずですよ。
③洋画を字幕で見る
これもよくある勉強法だと思います。
本当はやりたくない勉強を自分の好きな映画を見ることでできるわけですから、この勉強法が人気なのにもうなずけます。
ただ、この勉強法はかなり上級者向けなのでリスニングに苦手意識を持っている方にはあまりオススメできません。
なぜなら、洋画で使われるような英語はネイティブに近い自然な英語だからです。
高校生の場合、目標とするレベルのリスニング速度よりもはるかに速いスピードで、どんどん英語が流れていきます。
残念ながら、「勉強している風」で満足して終わってしまうでしょう。
すでに充分な英語力を持っており、最終目標がネイティブの方と自然なコミュニケーションを取りたいという場合は、自分のリスニング力を試す意味でも効果的な勉強方法だと思います。
オススメ勉強法
ということで、ここまでリスニングが苦手な原因やリスニングのポイント、やりがちな間違った勉強法について解説してきました。
ここからはいよいよ本題の、リスニング対策のオススメ勉強方法をご紹介します。
①「発音のルール」を知る
英語を聞きとるためには英語の「発音のルール」を知ることはとても重要です。
具体的な勉強方法に入る前に、まずは発音のルールをしっかり理解しましょう。
以下の2冊は筆者オススメのリスニング参考書です。
どちらも講義形式になっており、発音のルールが一つひとつ丁寧に解説されています。
普段の勉強の中で疑問点が生じたときに、どちらか1冊が手元にあると安心ですね。
オススメのリスニング参考書
①世界一わかりやすい英語の発音の授業
スタディサプリで活躍中の関正夫による、知る人ぞ知るリスニング対応の参考書。
英語が聞き取れない原因の1つに「発音のルールがわかっていない」ということを挙げました。
この本では英語の「発音のルール」が一つひとつ分かりやすく解説されているので、リスニングの苦手意識を克服したい方にオススメです。
全編カラー編集なので読みやすいという点もポイントです。
出版社:KADOKAWA
公式サイトのURL:https://www.kadokawa.co.jp/product/321807000396/
価格:1,650円
②英語耳 発音ができるとリスニングができる
発音リスニング分野で20年近くNo1ヒットを続ける名著。
こちらも「発音のルール」が丁寧に解説されているほか、20分で発音記号と発音のルールを確認できる音声が付属されているので、毎日の学習に最適です。
初学者だけでなく、ネイティブ並みの発音を身に付けたい方にもおすすめの1冊です。
出版社:KADOKAWA
公式サイトのURL:https://www.kadokawa.co.jp/product/322012000562/
価格:1,760円
②10分だけでも毎日英語を聞く
リスニング力を鍛えるためには耳に英語を慣れさせる必要があります。
ですが、いちいちCDをセットして英語を聞く、ということにハードルを感じる方もいらっしゃるでしょう。
そんな方に是非オススメなのが、スマホアプリを活用することです。
スマホアプリの良いところは「手軽さ」にあります。
スマホアプリであれば、学校の休み時間や登下校の時間など、スキマ時間で勉強することができます。
以下におすすめスマホアプリをご紹介します。
おすすめスマホアプリ
①Duolingo(デュオリンゴ)
Duolingoで英語学習
Duolingo無料posted withアプリーチ
世界で最もDLされている語学アプリです。
ゲーム感覚で勉強することができ、1回5分ほどで取り組むことができるので、スキマ時間の学習に最適です。
リスニングのほかに単語・文法の勉強も並行して行うことができます。
「楽しく勉強を続けたい」
「スキマ時間を有効活用したい」
という方にオススメです。
②英語リスニング
英語リスニング – 英会話や英語ニュースの聞き流し勉強アプリ
無料posted withアプリーチ
こちらは英語リスニング専用のアプリです。
英語のニュースやコラム・状況に応じた英会話などが毎日配信されており、すべて無料で聞くことができます。
掲載されている英文の長さはおよそ1分ほどなので、こちらもスキマ時間の学習にぴったりです。
また、すべての英文にスクリプトがついていたり、リスニング速度を変更できる点も魅力的です。
「スキマ時間を活用したい」
「リスニング力を鍛えたい」
という方にオススメです。
③mikan
英語アプリmikan -TOEIC・英検®・英会話・英単語
無料posted withアプリーチ
800万DLされている人気の英語学習アプリです。
TOEIC、英検、大学受験、ビジネス英会話など目標に応じた豊富な学習コースが用意されているので、自分に合ったペースで進めることができます。
また、ネイティブの発音が収録されているので、すべての英語の発音を聞くことができます。
「目標に向かって頑張りたい」
「楽しくサクサク勉強したい」
という方にオススメです。
④Redkiwi(レッドキウイ)
レッドキウイ:英語リスニング、英単語、英文法、英会話、勉強
無料posted withアプリーチ
Youtube動画を用いた英語学習が人気のアプリです。
英語学習がつまらなくて飽きてしまわないように、ドラマ、映画、アニメなど様々なコンテンツが用意されています。
難易度の選択、動画時間の変更など、自分のレベルに応じて調整することができるので、リスニング初学者から上級者まで、どんな方でも継続できます。
「Youtubeが好き」
「いろんなコンテンツから学びたい」
という方にオススメです。
③ディクテーション
ディクテーションとは、読み上げられた英文をそのまま文字に書き起こすことを指します。
ディクテーションの例は以下の通りです。
- まずは文章全体の音声を聞く
- 1文ごとに音声を止め、都度文字に書き起こしていく
- 書き起こした後に改めて文章全体の音声を聞く
- スクリプトで答え合わせを行う
当然一度聞いただけではすべての単語を書き起こすことはできないので、繰り返し同じ英文を聞くことになります。
同じ文章を何度も聞くことで耳が英語に慣れる、特に単語と単語のつながり方が分かるようになります。
④オーバーラッピング
オーバーラッピングとは、スクリプトを確認しながら音声にぴったり合わせて音読を行うことを指します。
- スクリプトを読み、知らない単語があれば意味を調べておく
- 音声を聞き、聞き取れない・発音できない箇所を繰り返し練習する
- スクリプトを見ながらオーバーラッピングを行う
オーバーラッピングは、文字通りぴったり音声のまま音読することが大切です。
アクセントやイントネーションなどもモノマネするイメージで取り組みましょう。
オーバーラッピングを正しく行うためには、音声を注意深く聞くことが必要になるので、リスニング力向上にはうってつけです。
⑤シャドーイング/リピーティング
シャドーイングとリピーティングはどちらもスクリプトを見ずに音声を復唱するという点が共通しているので混同されがちですが、実は違いがあります。
- シャドーイング:影(shadow)のように音声のすぐ後に発音する
- リピーティング:音声を聞き終わった後に発音する
どちらもスクリプトを見ずに発音をするので難易度は高めです。
まずは意味がわかる簡単な文章で繰り返し行うようにしましょう。
また、慣れないうちは、オーバーラッピング⇒リピーティング⇒シャドーイングの順に取り組むようにしましょう。
シャドーイング/リピーティングを行うことで、英語特有の発音のルールへの理解が深まります。
また、文字を確認する作業がない分、英語を英語のまま理解できるようになります。
おわりに
いかがでしたでしょうか。
今回は少しボリュームのある内容になってしまいましたが、英語リスニングのあれこれについて詳しく解説しました。
筆者はリスニングは英語4技能の土台だと考えています。
単語・文法を学習することでライティングに活きる、英語を英語のまま理解することで速読力が身に付く、発声を行うことでスピーキングが上達する、といった具合ですね。
リスニング上達のコツは「習慣化」です。
一朝一夕で身に付くものではないからこそ、あきらめずに日々取り組み続けることが肝心です。
皆さんの勉強が実りあるものになることを応援しています!