はじめまして!
オンライン個別塾G-coach塾長の浦山です。
あなたは「SAT」という試験をご存じでしょうか。
帰国子女の方、あるいはアメリカの大学進学を希望している方であれば、耳にしたことがあるかもしれません。
「耳にしたことはあるけれども、イマイチどんな試験か分からない…」
そこで今回は、SATとはどんな試験なのか、SAT mathとはどんな試験なのか、どのように対策すべきか、ということをご紹介します!
SATとは
SATとはアメリカの「college board」という教育機関が実施している大学受験のための統一試験のことです。
日本で言うところの「共通テスト」、韓国で言うところの「スヌン」のアメリカ版だと思ってもらってOKです。
アメリカの試験と言いましたが、日本でも受験することができ、帰国子女枠入試など日本の大学入学試験でも利用されるケースがある試験です。
SATと共通テストの違い
SATはアメリカ版の共通テストだと言いましたが、制度や試験の立ち位置が異なります。
SAT | 共通テスト | |
---|---|---|
受験回数 | 1年に何度でもOK | 1年に1回のみ |
位置づけ | ・書類審査の1項目 ・SATの成績だけで合否が決まるわけではない | ・大学個別試験の足切り ・共通テストの成績のみで合否が決まる場合がある |
SATは共通テストと異なり、1回きりのチャンスしかない、ということはありません。
自分の目標の点数に届くまで、何度でも試験を受けることが出来ます。
また、アメリカの大学入試では学力試験以外に、学校の成績表、課外活動、推薦状などから総合的に判断して合否を決定します。
日本の大学入試のような、入学試験の一発勝負、という形式ではないという点も違います。
SATの試験内容
SATの試験内容を表にまとめます。
科目 | 構成(問題数/試験時間) | 配点 |
---|---|---|
Reading | Critical Reading(52問/65分) Writing&Language(44問/35分) | 200~800点 |
Math | Non-Calculator(20問/25分) Calculator(38問/55分) | 200~800点 |
SATにはReadingとMathの2つの分野があり、それぞれ800点満点の合計1600点が満点です。
Readingは「英語」の試験ですが、外国語としての英語ではなく、母国語としての英語の試験になるので、日本の高校生にとってはかなり難易度の高いテストになります。
Mathは「数学」の試験です。
この後詳しく解説しますが、出題範囲としては日本の中学校レベルの問題がほとんどですので、1つ1つの問題難易度はそこまで高くありません。
ただし、アメリカの試験ですので、問題文や解答は当然すべて英語になっています。
試験時間に対する問題数の多さにも注意が必要です。
SAT mathの特徴
ここからはいよいよSAT mathについて詳しく確認していきます。
SAT mathの問題/回答形式
SAT mathはアメリカの試験であるため、問題文から解答に至るまですべて英語表記になっています。
また、試験が2つのセクションに分かれており、電卓を使用しても良いセクションがあることが特徴です。
公式が記載されている表が問題文と一緒に配られるので、試験中いつでも公式を確認できます。
回答形式は選択式とグリッド・イン式の2つがあります。
選択式は4択制、グリッド・イン式は初めて聞くかもしれません。
グリッド・イン式とは、計算で求めた値を解答用紙に記載し、対応したマスを黒く塗りつぶす形式です。
セクション | 問題数 | 選択式/マーク式 | 時間 |
---|---|---|---|
電卓使用不可 | 20問 | 15/5 | 25分 |
電卓使用OK | 38問 | 30/8 | 55分 |
SAT mathの出題範囲
出題範囲は大きく4つに分類されます。
出題範囲 | 問題数 |
---|---|
代数学の基礎(Algebra) | 19問 |
発展数学の入門(Advanced Math) | 16問 |
問題解決とデータ分析(Problem-Solving and Data Analysis) | 17問 |
幾何学と三角法(Geometry and Trigonometry) | 6問 |
代数学の基礎(Algebra)
代数学の基礎では、一次方程式、連立方程式、一次不等式などが出題されます。
1つの問題に対して複数の公式を用いる問題など、応用力を試す問題も出題されます。
代数学の基礎で出題される内容は以下の通りです。
- 一次方程式/連立方程式/連立不等式の計算問題
- 一次関数のグラフ
発展数学の入門(Advanced Math)
発展数学の入門では、STEM分野のキャリアや、科学、経済学などの分野での学習やキャリア機会を追求するために必要な数学に焦点を当てています。
絶対値、二次関数、指数関数、多項式、有理数、根号、および他の非線形方程式など、より高度な数学を学ぶために必要なスキルや知識を測る問題が出題されます。
発展数学の入門で出題される内容は以下の通りです。
- 二次方程式/指数方程式などの計算問題
- 二次関数/指数関数のグラフ
- 多項式の因数分解
問題解決とデータ分析(Problem-Solving and Data Analysis)
問題解決とデータ分析では、比率や比例関係に関する問題を通して、商品単価を理解するための能力を測定します。
また、データの分析からも出題されます。
抽象的な問題より、実社会で活きるような現実的なシチュエーションのもと出題される傾向があります。
問題解決とデータ分析で出題される内容は以下の通りです。
- 比率/割合の計算問題
- 表やグラフのデータ分析
- 確率/条件付き確率の計算問題
- データの推論(中央値や平均値など)
幾何学と三角法(Geometry and Trigonometry)
幾何学と三角法では、図形問題が出題されます。
幾何学と三角法で出題される内容は以下の通りです。
- 面積/体積の計算問題
- 三角形の合同/相似
- 直角三角形の幾何学(sin,cos,tan)
- 円の方程式
- 円の定理
SAT mathの対策方法
公式を暗記して試験に臨もう
SAT mathの試験では、問題用紙と一緒に公式が書かれた紙も配られるので、試験中に公式を確認することが可能です。
ただし、いちいち確認をしていると、時間が足りなくなってしまうでしょう。
また、問題数が多いことに加え、解答に至るまでに複数の公式を用いる必要がある問題も出題されるので、問題を見た瞬間にどの公式を使うべきか判断できる、即効性が重要です。
そのためには、ただ公式を丸暗記するのではなく、公式の背景部分(証明部分)まで理解して覚えるということが大切です。
電卓を使いこなそう
SAT mathの問題は、半分以上が電卓の使用を許されています。
特に、比率・割合の問題では電卓をバンバン使って時間短縮を狙いましょう。
普段の勉強の際も、必ず試験で使用する予定の電卓を使うようにしましょう。
機能としては同じ電卓でも、ボタン配置が若干変わるだけで、時間のロスが生まれてしまうからです。
電卓の使用が許されている問題の中には、電卓を使わない方が速く解ける問題も出題されるので、問題の見極めも重要です。
時間配分を身に付けよう
SAT mathの問題は、日本の中学レベルの問題がほとんどなので、1つ1つの難易度は高くないと言えます。
ただ、時間に対する問題数がめちゃくちゃ多いことが特徴です。
平均すると、電卓使用可能セクションでは1問につき86秒、電卓使用不可セクションでは1問につき75秒しか時間をかけることができません。
実際には、単純な計算問題や具体的なシチュエーションが用意されている文章題など、問題によって必要な時間は変わってくるでしょう。
簡単な問題には時間をかけずに、応用問題に時間をかけられるような時間配分を、普段の勉強から意識するようにしましょう。
語彙力を増やそう
SAT mathの試験は、問題文・解答選択肢のすべてが英語で書かれています。
数学で使われる英語というのは決まったものが多いです。
equal :等しい
negative value :負の値
positive even integer:正の偶数
exponential function:指数関数
linear function :1次関数
equation :方程式
語彙力を鍛えることで、キーワードを拾うだけで問題全体の意味が分かるようになってきます。
Back Solving(解答代入法)を使いこなそう
SAT mathの試験は、4択の選択問題が全体の8割を占めています。
Back Solvingとは、選択肢の値を問題の式に代入して、式が成立するものを探す手法です。
この手法を使いこなすことで、考えても分からない問題に出くわしたときに、手が止まってしまうということを防ぐことができます。
ただし、あくまで問題が分からなかったときの最終手段という位置づけを守るようにしましょう。
どの問題でもBack Solvingを使っていると、時間がいくらあっても足りなくなるからです。
SAT mathのオススメ対策問題集
The College Panda SAT Math Advanced Guide and Workbook
単元ごとに内容が整理されており、自分の苦手単元から学習を始めることができます。
すべての単元に、例題、練習問題と解説、間違えやすいポイントがまとめてあります。
例題と練習問題で500題以上収録されており、基礎的な問題から応用問題まで幅広く対応可能です。
価格:¥5,085
公式HPのURL:https://thecollegepanda.com/books/
Full-Length SAT Practice Tests
college boardが発行している公式の模擬テストです。
オンライン上で全10回の模擬テストの問題を解くことができます。
取り組む際には、時間を測って、本番を意識して取り組むことをオススメします。
価格:無料
公式HPのURL:https://satsuite.collegeboard.org/sat/practice-preparation/practice-tests
SATの試験日程
2024年度のSAT試験の日程は以下の通りです。
試験日 | 申込期限 |
---|---|
3/9 | 2/23 |
5/4 | 4/19 |
6/1 | 5/16 |
8/24 | 未定 |
10/5 | 未定 |
11/2 | 未定 |
12/7 | 未定 |
SAT試験を受験する際は、申込期限ぎりぎりまでは待たずに、できるだけ早い段階で申し込むように注意が必要です。
ほとんどの場合、インターナショナルスクールが受験会場となり、受験会場となるインター校に在籍している生徒のためにその学校が席を埋めてしまうことが度々あるからです。
おわりに
いかがでしたでしょうか。
今回はアメリカ版大学入学共通テストであるSATについて詳しく解説しました。
アメリカだけの試験だと思われがちですが、早稲田大学、慶應義塾大学、上智大学など、日本の最難関私立大学を受験する際にもSATのスコアが必要な場合があります。
SATは日本人にとって、なじみがない試験かもしれません。
SATを受験する際は、出来るだけ早いうちから情報を集め、適切な対策を講じられるようにしましょう!